
「プロの視点で解説」今月の食品展示会レポート完全版! Vol.1『FOOD STYLE Kansai 2025』
『食品』をテーマとした展示会は、国内だけでも数多く開催されており、多忙な業務の中で視察の時間を確保することが難しい方も多いかと思います。
そこで、本記事では皆様を代表して展示会を取材し、FOOD INNOVATOR のテーマである「未来の食品リーダーを創る」に少しでもお役立ていただけるよう、「事実情報」と「中立的かつ多角的な視点での考察」を交えながら、視察内容を共有いたします。
※本記事は長文ですので、以下の目次より気になる項目を選んでジャンプしてご覧いただけますと幸いです。
また、本記事はプレス登録を行い、主催者の了承を得たうえで取材を実施しております。
展示会概要
視察展示会 : FOOD STYLE Kansai 2025
開催期間 : 2025年 1月22日(水) ~ 1月23日(木)
開催場所 : インテックス大阪
展示会HP : https://foodstyle.jp/kansai/
※来場者データ(投稿当時未開示のため、昨年度実績を参考)
2023年度 出展者数 574社 来場者数 18,029名
展示会場視察
FOOD STYLE JAPANの魅力とは?
FOOD STYLE JAPANは、『外食・中食・小売業界へ販路拡大をするための商談展示会』として、20年前から各地域(東京・愛知・大阪・福岡・沖縄)で開催されている。
出展内容は、各ブース1コマ(2000mm)程度の出展サイズに自社のPR食材を展示し、試食をはじめ多くのサンプルサービスを準備・提供しており、市場のような活気ある雰囲気があった。これは、本展示会が『商談展示会』であり、商談を目的とした業界関係者のみが来場可能なため、『来場者 ≒ 購入検討者 ≒ 将来の顧客』という構図が成り立ち、ヒット率を高めるサービス体制で出展社も臨んでいたと考えられる。
個別出展物の紹介は割愛(理由後述)するが、食材そのもののPRのほか、パッケージを含めたブランディング戦略を行っているブースも多く、自社の勝負所(食材のみで勝負=味と価格 / 最終商品として勝負=味と価格と見た目)を、限られたスペースで工夫しながらアピールしていた。
FOOD STYLE JAPANの出展形態と地域ごとの戦略
出展形態としては、地域ごとに自治体・商工会・協会等が主体となり、チームを組んで出展しているケースが多く、特徴的な統一装飾を施し、チーム一丸となって集客を行っていた。特に、関西以外の出展ブースではインパクトのある装飾が多く(開催地域への販路拡大を目的としており、少しでも足を止めてもらうためと推測。確かにその効果を感じた)、来場者の目を引きつけていた。
このような出展形態をとる理由として、2つのポイントが考えられる。
- 出展商材が他の地域と重複してしまう(例:炭火焼鳥、魚の燻製、ワイン等)ため、個別でのPRには限界があること。
- 自治体・商工会・各協会等による地域振興、地域活性イベントとしての側面が強いこと。
地元の食品が拡販できることは、その地域の産業発展や知名度向上にもつながるため、各団体の力の入れようは、集客の呼び込みや装飾からも伝わってきた。私見となるが、力の入っている団体ブースには、応援したいと感じた。
最後に、本展示会は前述の通り『商談展示会』であるため、入場規定にも『商談を目的としない試食・サンプル依頼は固く禁止』とある。そのため、プレス(報道機関)としての立場上、皆様の商談の邪魔にならないよう、その規定を守りながら、個別出展社との接触は最小限にし、目で見るだけではとても勿体ない、美味しいとほぼ確信できる数々の食品を遠目に見ながら、唾を飲み込んで本視察を実施(辛)。
次回は商談者として、素晴らしい食品を広める立場で参加してみたい。
写真:商談を目的とした業界関係者のみが参加できる展示会ながら、会場は多くの来場者で賑わい、活気に満ちていた。
出展企業の戦略と工夫
各ブースでは、単に食材の魅力を伝えるだけでなく、パッケージやブランディングにも力を入れる企業が多く見られました。例えば、
- 「食材そのもので勝負する」 → 味と価格が重要
- 「最終商品として売り込む」 → 味に加え、見た目やパッケージも重視
といったように、限られたスペースの中で、自社の強みを最大限にアピールする工夫が随所に見られました。
写真:地域独特の装飾 各チームの集客本気度が伺える
左上 宮崎県ブース 『日本(にっぽん)のひなた宮崎県』をイメージ
右上 復興水産加工業ブース 『三陸・常磐の海』をイメージ
左下 高知県ブース 『よさこい祭り』をイメージ
地域ごとの出展スタイルの違い
出展の形態として、自治体・商工会・協会などが中心となり、チームで出展するケースが多く見られました。特に関西以外のブースでは、インパクトのある装飾が施され、来場者の目を引く工夫が際立っていました。これは、開催地域への販路拡大を目的とし、「少しでも足を止めてもらいたい」という意図があると考えられます。実際、その効果は高く、来場者が次々と足を止めていました。
こうした出展形態が取られる理由として、次の2つが考えられます。
- 出展商材が他の地域と重複しやすい(例:炭火焼鳥、魚の燻製、ワインなど)ため、個別のPRには限界がある
- 自治体や商工会が地域振興・活性化の一環として出展を支援している
地域の食品が広まることで、その土地の産業が発展し、知名度向上にもつながるため、各団体が一丸となって集客に力を入れている様子が伝わってきました。個人的には、特に力を入れている団体ブースを見ると、「応援したい!」という気持ちが自然と湧いてきました。
取材の感想:次回は商談者として参加したい!
前述の通り、本展示会は商談目的のための展示会であり、入場規定にも「商談を目的としない試食・サンプル依頼は禁止」と明記されています。そのため、プレス(報道関係者)として視察を行う立場上、商談の邪魔にならないよう慎重に取材を行いました。
とはいえ、会場には目で見るだけではもったいない、魅力的な食品が並び、「これは絶対美味しいに違いない!」と確信できるものばかり…。試食できないのが悔しくて、何度も唾を飲み込みながらの視察となりました(涙)。
次回は、商談者として参加し、素晴らしい食品を広める立場になりたいと強く思います。
番外編:『ラーメン産業展 in Kansai』も同時開催!
本展示会と同時開催された『ラーメン産業展 in Kansai』では、製麺装置や原料、店舗システムなどが展示され、業界関係者に向けた商談が活発に行われていました。
中でも注目を集めたのは「麺類大試食会」。多くの商談目的の来場者が集まり、さまざまな麺を試食しながら、熱心に情報交換を行う姿が見られました。
写真は試食会ブースの一部。まるで展示会とは思えない、美食と活気に満ちた空間でした。
セミナー聴講
本項目では、開催されたセミナーの中から選抜した講演内容をご紹介いたします。
講演内容は、当日の講演資料を基に、聴講内容と照らし合わせて作成しております。そのため、以下の点についてご理解いただけますと幸いです。
- 箇条書きを多用し、要点を分かりやすく整理
- 講演者の重要な説明部分を省略しないよう、可能な限り原文に近いボリュームで記載
- 業界用語の説明、関連データ、一般理論の補足を加え、内容が湾曲しないよう配慮
なお、各セミナーの考察については、「視察総評」にまとめておりますので、そちらも併せてご覧ください。
がんこ流 インバウンド集客の極意
講演者 : 株式会社GANKO 代表取締役社長 小嶋 達典 氏
※投稿写真は講演者様から撮影了承済
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■講演概要
コロナ禍を経て、インバウンド需要が回復し、特に日本食を提供する外食産業は再び活気を取り戻しています。しかし、現在のインバウンド市場には「リピーター」が多いという特徴があり、単に訪日観光客が増えるだけではお店が選ばれるとは限りません。
そのため、「インバウンドの方々に選ばれるお店」となるための工夫や努力が求められています。
- 今回は、和食の伝統文化を大切にしたフードサービス事業を展開する「GANKO」様の取り組みを、具体的な事例とともにご紹介します。GANKO様では、「日本の食文化を体験し、何度でも訪れたくなるお店づくり」をテーマに、さまざまな工夫を取り入れています。
どのような手法でインバウンドリピーターの心をつかみ、選ばれるお店を実現しているのか、一緒に見ていきましょう。
■講演内容
1)会社紹介
株式会社GANKO : 昨年4月『がんこフードサービス』から社名変更
海外事業の強化を見据えてアルファベットでの表記を採用 - 日本家屋(屋敷)での出店 食だけでなく景観、文化も楽しめる環境を提供
- インバウンド向け英語表記のイメージPV作成(空撮ベースで空間を強調)
- 団体顧客にも対応した大部屋の充実
その結果、インバウンド予約が好調
2)データからみるインバウンド需要の傾向
■訪日外国人の数
2015年の訪日外国人 : 19,737,409人
↓
2024年の訪日外国人 : 36,869,900人 ※約2倍の増加
☆外国人訪問者数世界一位であるフランス - 2015年で8,445万人 2024年は1億人の見込み
- 陸路での訪問が大半で、水路・空路だけなら約2,000万人しかいない
- 水路・空路でしか訪問できない日本は大健闘している
■訪日外国人の出身国 - 1位 韓国 2位 中国 3位 台湾 この3国で約6割を占める
- 米国、欧州より、やはり隣国のアジア圏からの訪問者が多い
■訪日外国人の訪日回数と手段
※FIT:Foreign Independent Tour観光業界用語で『パッケージツアーを利用しない個人旅行者』のこと - リピーターが拡大。3回目以上3~6割
- パッケージ利用は10~30%。FITがまだまだ主手段となっている ⇒ FIT旅行客へのPRが重要
■訪日旅行の目的
☆世界遺産登録数ランキング
1位 イタリア 59
2位 中国 57
3位 ドイツ 53
4位 フランス 52
5位 スペイン 50
…
11位 日本 25
過去より世界遺産数が多い国は旅行客が多い傾向
☆訪日旅行の目的
『日本食』と『自然景勝地』が1位2位
Q.海外の方は、どうやって食べたい日本食を調べているのか?
A.『日本のアニメ』に出てくる食べ物から調べているケースが多い
例:ラーメン⇒NARUTO
日本のアニメは、世界向けコンテンツとしてとても強い!
傾向:モノ(世界遺産)消費と合わせてコト(無形文化)消費も重要となってきている
■訪日前に旅行情報を得た先
- アジアは『ブロガー』が強い発信力を持っている!
- 欧米は日本に住んでいる母国の人が紹介している内容を重視
- どちらも、忖度ない信頼高い情報である点が決めてとなっている
- ※SNSの強さを痛感
☆ポイント - 訪日者は、一見さんよりリピーターが多くなっている
- 観る 食べる 体験をする それを誰かに伝えたい!に応える(SNS対策)
- その国、その土地のグルメを求めている(日本食)
- 訪日者との触れ合い(カタコトでもコミュニケーションする)が、とても良い思い出になる
- 日本人が良いと思うものは、海外の方にも通じるものがある
3)『がんこ』がおこなっていること
『情報発信』 『観光資源』 『売り物』 の3点を結びつけた活動
- 情報発信 : どうやって伝えるか?
- 観光資源 : 自然、造形物、文化
- 売り物 : 特徴、特色、独自性
■団体客への取り組み - 国内・海外旅行会社と経済団体・NPO・自治体とを結び合わせ
-
『団体旅行』『MICE』を企画
※MICE:Meeting、Incentive tour、Convention・Conference、Exhibitionの頭文字をとった造語で、ビジネストラベルの1形態
☆ポイント - 店舗とランドマークを結びつけた旅行行程の提案(観光資源連携)
- おもてなしの心 粗末な扱いをすると、店も荒れる(売り物強化)
- 国別の特性理解(ワサビ・唐辛子・大声・洗面所の使用方法 等)
- 海外旅行社の添乗員、ガイドさんはリピーターに繋がる事が大きい 大切な宣伝者
- 国内旅行社の営業、添乗員さんは会社ごとに違うが、通訳さんは複数社にまたがって仕事をしてい
る。FIT通訳も行っており、こちらも大切な宣伝者
■FIT 個人客への取り組み
各地域に強い情報発信媒体での情報発信 - 中国向け : ウェイボー 大衆点評 等
- 欧米向け : フェイスブック インスタ トリップアドバイザー 等
※店舗表現 メニュー表示 ホームページ 等 自社の情報は各言語対応して発信
■文化体験 (『観光資源』+『売り物』) - 日本文化の体験ができる場を設ける
- 寿司握り体験、着付け教室、お抹茶体験、折り紙教室 どれも人気コーナーとなっている!
- 寿司握り体験は昔から行っているが、かなり人気。法被も着て体験してもらうことで法被を買う方
もいる。体験表彰状もプレゼント。大変喜ばれている -
日本人が普通に行っていることは、海外の方からすると新鮮味ある体験
☆人が動く魅力、行動原理 - ザイオン効果⇒繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果。単純接触効果ともいう
- プラシーボ効果⇒信頼性の高いブランドや商品に対して、消費者が期待や信念を持つことでそのブ
ランドや商品の評価が高まることがある - マズローの欲求5段階⇒人間の欲求を5つの階層に分け説明した心理学理論
- 生理的欲求・安全の欲求・社会的欲求・承認欲求・自己実現の欲求
■従業員教育 - 日本人スタッフ : 外国語基礎 外国文化 周辺おすすめ
- 外国人スタッフ : 日本語基礎 文化体験基礎 接客訓練
※基礎知識を持った上で、両スタッフ同士での『文化の違い認識』『相互信頼と補完』を行う
☆海外顧客対応のアルバイト問題 - 英語の勉強できる!の振れ込みで募集したところ、求職者UP
6)まとめ - 訪日旅行は『もの』から『こと』重視になっている
- 喜ぶところは、日本人も外国人も同じ
- その土地の『味』を楽しみたい
- その国の『文化』に接したい
- その国の『人と交流』をしたい
商売は、日本人相手も海外の方相手も同じです!
『売り物』と『文化(体験)』を結びつけるためには『人』が一番大切。
だから、『個人のブランド力』をGANKOは今後も育てていきます!
■考察 がんこ流 インバウンド集客の極意
インバウント需要の傾向を的確に分析し「人は感情で動く=非論理的」重要性を念頭に置きながら、論理的な裏付けがある施策(当てずっぽうではない)を実施されているからこそ、継続的な適正サービスが提供できている。
「日本人が普通に行っていることは、海外の方からすると新鮮味ある体験」は、目から鱗が落ちる話であり、社内で「当たり前」のことは、実は価値あるもの(逆も然り)かもしれない。物事を俯瞰的に見てみる事の大事さが、とても伝わった。
GANKO様は、店舗の雰囲気に合わせたAMR(自動搬送装置)を導入等、自動化にも積極的であり、様々な可能性にチャレンジされる同社が将来「日本料亭の未来の姿」を創り出されることも、そう遠くないと感じた。
デジタル時代の食品製造「競争力を高める新戦略」
講演者 : 株式会社カンブライト 開発部リーダー 青木 友洋 氏
株式会社リグニオ 事業開発 藤井 数友 氏
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■講演概要
生産性を向上させる方法には、2つのアプローチがあります。
- 直接的自動化 … 自動機械の導入により、人手を減らして作業を効率化する方法
- 間接的自動化(見える化) … 工場のデータを管理・分析し、無駄を減らして効率を高める方法
今回の講演では、特に「間接的自動化(見える化)」に焦点を当て、実際に活用されているAI生産管理システムやクラウド型帳票管理システムについて紹介されました。
- リグニオ様 … AIを活用した生産管理システムを開発し、工場の見える化を実現
- カンブライト様 … クラウド型帳票管理システム『ツクルデ』を開発し、工場の帳票管理をデジタル化
どちらも、工場の生産性を高め、人手不足の解消や業務効率化に貢献するシステムです。今回の講演では、それぞれのシステムの具体的な活用事例が紹介されました。
これからの時代、ただ機械を導入するだけでなく、データを活用して「見える化」することが重要になってきています。講演での事例をもとに、どのように活用できるのかを考えていきましょう。
■講演内容
☆リグニオ社発表
1)AI生産管理システム開発経緯 - 豆腐業者様から、下記問合せをいただく⇒生産管理が難しく、在庫ロスや欠品が発生、利益を圧迫
している。。。 - 豆腐は消費期限も短く、特に管理体制がシビア
- 各計画の入力自動化/半自動化が可能となるシステムを開発
- 生産計画 : 需要予測、過去の出荷実績と営業受注、在庫状況、生産能力 からAI推測
- 資材原材料管理 : 自動発注等
- 生産実績管理 : 手入力またはAIカメラによる自動入力で行っている
- 受注出荷管理 : 受注情報をスマホに表示 AI-OCRによる取り込み
※AI-OCR :OCR(Optical Character Recognition/光学文字認識)にAI(人工知能)技術を融合させた最先端のOCR技術
E.在庫管理 : スマホ活用
2)導入効果(定性評価)
- データに基づく意思決定
- 生産管理を仕組化することによる脱属人化
- 複雑なシステムをシンプルに閲覧可能 一気通貫でシステム構築するメリット
☆製食品製造業に特化したAIかつ、一気通貫でのサービス提供が同社の特徴
☆カンブライト社発表
1)クラウド型帳票管理システム『ツクルデ』開発経緯 - カンブライト社は元々、缶詰を作るメーカー。実作業改善から本システムを開発
- 品質管理担当者 日々の業務で重要視されていることは何か?
- 品質管理担当者⇒食品の安全性 トレサビ 製品の品質管理(生産効率と密接関係)法令順守 消費者
の信頼維持 - 現場管理担当者⇒生産業務を効率的に進める
- 『品質』と『現場』では、重要視していることが違うため、なかなか連携ができない
また、現場は偶発的なミス(ロット間違い 原料間違い 開封期限切れ 計量投入ミス等)もあり各対策用システムを個別導入しても、各システムの非連携が、帳票管理にネックとなる
そこで、各ステップを踏みながら一気通貫で管理できるシステムを開発
- ステップ1 : 衛生記録
- ステップ2 : 製造日報
- ステップ3 : 在庫連動
- ステップ4 : トレサビ
- ステップ5 : 生産管理
2)システムの特徴
簡単操作でカスタマイズ可能
製造日報作成に注力(計量投入、重要管理点、出来高歩留)
外部システムとの連携、親和性高い
簡単に工程記録からのトレース検索ができ、現場の記録からトレースバックできる
※例:出荷後トラブルによる該当製造状況、製品、原料を追跡できる
■考察 デジタル時代の食品製造「競争力を高める新戦略」
食品業界は、産業全般と比べて自動化が進んでいない要因として「生産管理体制が整っていない≒見える化による現状把握不足」が挙げられる。
その対応として両社(リグニオ社:AI生産管理システム、カンブライト社:クラウド型帳票管理システム)の様な見える化システム導入を検討することとなるが、見える化システムは両社以外にも多くの企業がアプリケーションパッケージとして取り揃えており、正直その優劣は決めきれないが、少しでも理想的な導入を求めるには「⓪見える化の目的は明確か」「①自社の社員が扱えるか」「②作業が逆に増えないか」「③メーカーサポートは適正か」「④必要なデータが正確に入手できる環境が整っているか」を最低でも把握する必要がある。特に、⓪については最重要で、見える化をすることが目的となった場合、余計なデータばかり集まり生産性改善できないケースが多い。
ご講演いただいた両社は、カスタムをあまり行わないパッケージシステムとは違い、伴走しながら仕様を決めて見える化を進めるスタイルをとられているため、これから見える化を行う企業や、自社である程度管理を行いたい企業に適正と思われる。
不可能であった惣菜製造の機械化を世界初で実現、小売ー中食製造の人手不足解消
講演者 : 一般社団法人 日本惣菜協会
AI・ロボット推進イノベーション担当フェロー 荻野 武 氏
※投稿写真は、講演者様から撮影了承済
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■講演概要
日本の食文化の一翼を担う『弁当・お惣菜』は、長年にわたり多くの消費者に親しまれています。これらの製造には食品製造装置が広く活用されているものの、『盛付』工程の多くは依然として人の手に依存しており、近年の深刻な人手不足の影響で、今後の生産維持が困難になることが懸念されています。
『盛付』は、適切な量の調整と美しい見た目の演出といった**「人間的感覚」**が求められる工程であり、自動化が極めて困難な分野とされています。しかし、こうした課題に対し、日本惣菜協会様は革新的なアプローチで自動化に挑戦しています。
本講演では、盛付工程の自動化に向けた技術開発の最前線を紹介するとともに、最新の取り組みや成功事例、今後の展望について詳しく解説します。人手不足の解消と生産性向上を目指し、業界全体で取り組むべき方向性を探ります。
■講演内容
1)若い時の苦い思い出と学び
- 日立製作所時代、世界最大の工場で従事。世界から見学者が来ていたが、中国韓国に抜かれ閉
鎖・・・ - どんな企業も安住して変革(イノベーション)できなければ倒産する
- 日本の同業他社が本当の敵ではない
⇒同業他社でも、目的(志)達成に向けて助け合う体制が必要
2)イノベーションは新結合
経済学者 ヨーゼフ・シュンペーター
イノベーションは『技術革新』ではなく『新結合』である。『新結合』とは、単体ではすでに存在するものの、それまでに組み合わせたことがない要素同士を結び付けることで、新たな価値を創造すること
製造現場においての『新結合』 : 現場力(データ)× 新技術(AI・ロボット)
☆荻野氏が過去行った『新結合』実例
対象開発装置: AI原料検査装置(前職大手食品メーカーにて)
目的(志) : 食の安全・安全は原料から、原料の安全・安心を世界へ
目指したもの 1.世界一の低価格=欧州メーカーの1/10
2.世界一高性能=高い検出精度
3.世界一シンプル&コンパクト=技術者不要、誰でも簡単操作
- 2018~2020年に社内複数ラインで実装し、社外横展開を実施
- 同業他社からも多くの引き合い:食品・原料メーカー100社以上
3)そもそもロボット・AIとは?(使う側にとって)
- 知力の機械化 : AI
- 体力の機械化 : ロボット
- こころ(志) : 人(利他の目的を持つこころ) 機械で代替できない!
4)弁当・惣菜製造の盛付工程自動化への挑戦
弁当・惣菜製造業は、食品業界でも特に労働生産性が低い ※製造業平均の約1/3程度
■ロボット化が困難な惣菜製造
- 全製造業の中で労働者が最も多いのが食品製造
- 全食品製造業の労働者約120万人中半数近くが惣菜製造に従事さらにその半数が盛付作業(数十万
人)従事 - 重労働⇒人が集まらず、多くの作業者は海外労働者
- 機械化がこれまで不可能
- 高い重量精度、品位が求められ、現行技術では、採算ベースの解は無い
※食品製造業の99%が中小企業でもあり、投資コストも多く掛けられない
自動化ハードル高く、皆諦めていた。。。。
↓
そこで、官(経済産業省・農林水産省)協力のもと、本課題に着手
プロジェクト(One Team)の理念
- 志 : 人手不足のない世界を創造する ※志とは、利他の目的をもつこころ
- 理念: One for all , All for one.
一社がチームの為に、チーム皆が一つの志のために
-
渋沢栄一の『合本主義』的な考えに近い理念でチーム編成して臨んだ
5)惣菜盛付ロボットシステムの開発 - 2021年度 半年間で業界初の惣菜盛付ロボットシステムを開発
- 官からは半年で実装まで行う要請。。。時間全くなく、難しいのは見えていたため
- 基礎からの技術開発は見送り、現行技術をベースに、まずは形創りを優先⇒把持ハンドはチャック
機構をベースとして多種製作。試行錯誤を重ねて開発 - ロボット動作は物理シミュレーション(デジタルツイン)にて能力検証
- マックスバリュ東海様に初号機を実装
7名/ラインを4名/ラインの省力効果実現
※ただし、導入コスト、設置スペース等、まだまだ課題アリ - 2022年度開発にて、小型化、高スピードを実現
設置スペース : 1200×1200mm ⇒ 600×600mm(1セルあたり)
生産スピード : 250食/時間 ⇒ 250×2食/時間(2台同時生産による)
- 利他の連鎖を発生させていく(理想的な横展開)
☆トップランナー:マックスバリュ東海 神尾前社長(当時)の想い
- 惣菜を盛り付けるロボットの開発も進めている。賛同した15社共同で進めることで
- ロボットシステムの価格を下げ、中小でも導入できるようにしたい。
-
ここで競争する必要はなく、普及拡大することでさらに低価格化を図り、業界全体の生産を上げていきたい
2023年度 惣菜盛付全行程ロボット化を開発実装
☆マックスバリュ東海 長泉工場 - 不定貫(個体ごとに重量が異なる商品)惣菜盛付工程自動化統合システムを導入
⇒売上UPだけでなく、現場のモチベーションもアップ!
- ロボットシステムを扱う責任、技術作業による仕事のやり甲斐
まだまだラインナップが揃ったばかりで、投資効果に見合う追い込みが必要志を同じとする企業様、ご参加お待ちしております!
■考察 不可能であった惣菜製造の機械化を世界初で実現、小売ー中食製造の人手不足解消
「価値(省力化、投資効果の高い)ある自動化システム」は、横展開を行う事でシステム導入コスト低減&導入ユーザーの生産性向上による企業体力増強が見込まれ、自動車・電気・電子業界では、この自動化好循環が行われているが、食品業界では「同業他社への転売禁止」「知財含めた所有権は導入ユーザー側にある」の傾向が強く(特に、ユーザーと仕様を決めながら構築した自動化システム)、結局のところ導入コストは高止まり、投資効果も見込み難くなるため、自動化ビジネスとしてかなり環境が悪い。
無論、製造方法の核となる部分は開示すべきではないが、移送作業や後工程の省力化は製品の品質(味・形状 等)に依存されない同業の共通課題であり、上述の通り原価低減(利益UP)に繋がることで、業界の活性化に繋がることが期待される。
荻野氏と同じ立ち位置で「同じ志を持ったチームで業界全体の課題を解決する」ことは、とても難易度高いが、協会ベース、同業者ベースで意見交換を行うことから始め、共通課題を解決する機運を高めることができれば、食品業界の未来はとても明るいものになると信じる。
兵庫のテロワール①:食で世直し~兵庫の食品メーカーが取り組む環境と健康への挑戦 事例紹介~
講演者 : 株式会社有馬芳香堂 取締役 事業開発部門長 有馬 康人 氏
オリバーソース株式会社 取締役 企画室 室長 道満 龍彦 氏
株式会社コスモス食品 うんと健康 事業部 事業部長 圓井 大輔 氏
株式会社信濃屋食品 営業本部 商品部部長 岩崎 忠之 氏
富永貿易株式会社 代表取締役社長 富永 昌平 氏
株式会社マルヤナギ小倉屋 専務取締役 執行役員 柳本 健一 氏
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■講演概要
兵庫県には、地域に根差した伝統的な食品製造業が数多く存在し、その継承と発展に取り組む若手経営者たちがいます。本講演では、兵庫県の食品企業の3~5代目となる親族後継者たちが、連携しながら事業を推進する取り組みを紹介します。
パネルトークを交えながら、以下のような実例を基に、地域の特性を活かした食品産業の可能性について深掘りしていきます。
- 伝統製法の継承と革新
長年受け継がれてきた日本の伝統的な製造方法を守りながらも、現代の市場ニーズに適応した商品開発を推進。 - 付加価値の創出と市場開拓
製品に独自の付加価値を与え、ニッチなファン層を確実に取り込む戦略的な商品展開の実例を紹介。 - 製造技術の進化による品質向上
- 製造方法を改良することで品質が飛躍的に向上し、事業の成長につながった事例を共有。
本講演では、兵庫の「テロワール」(土地の特性)を活かした食品産業の未来と、次世代の経営者が生み出す新たな価値について、実際の経験をお届けします。
■講演内容
神戸市内を中心とした、食品関連企業の家業を担う3、4代目若手後継者らが集まり2017年に結成された勉強会『KFC(コウベフードカンパニー)※会員数20社』同じ立場の若手経営者が共に学び、社業を発展させていくことで、神戸にも貢献していきたいという目的として活動
1)富永貿易社 - 1923年創業。青果卸から始まり、飲料、酒、食品、菓子を中心に
- 原料供給(商社事業)のほか、自社製品製造(メーカー事業)そして
- OEM製造(OEM事業)と、製造から流通までをカバーする食品総合企業に成長
連携:ナッツ原料を1967年から販売開始 有馬芳香堂様へ供給している
2)有馬芳香堂社 - 1921年創業。神戸は港町 仕入れ豊富で『まじめで頑固な豆屋』として良質な素材のナッツや豆菓子、ドライフルーツを加工、販売
- 5年前からはナッツを使用した洋菓子やスイーツを販売する『NUTS LAB』ブランドを立上げ、カフェも経営している
連携:木桶仕込み醤油を使ったナッツ製品を製造販売
- 信濃屋食品様からの提案。木桶醤油伝統製造を守り、事情継続に貢献したい
※木桶醤油は昔からの醤油の伝統製造方法であったが、近年はタンクによる
- 大量製造に代わり醤油製造流通の1%かつ、木桶製造会社も大阪に1社しか残っていない。木桶は容器内部に微生物が住み着くことで、その蔵元にしか出せない風味や味わいが楽しめる
3)コスモス食品社 - 1968年創業。創業からフリーズドライ食品の製造を行っている
※フリーズドライ食品に高い温度を直接かけつづける一般的な乾燥方法とは違い、真空化による物理現象により、最低限の熱を間接的に伝えるだけで食品を乾燥させることができるため、食品の成分を壊しにくく、素材の良さを生かしやすい乾燥方法
- 10年前 『価格が正義』の世界から脱却行う
- 共感企業戦略 :愛する人に食べてもらいたい いいね!を共感頂ける方に ヒトモノカネを掛けた
- コレクイナPJ :フリーズドライの技術を活かし、昔ながらの良い食材、良いモノづくりを後世に残したい。食のプロジェクトを楽しく大切にする
世界への進出 :罪悪感のない時短食を世界へ 素材を大切にする未来の日本の食・品質を世界へ
※他国のフリーズドライ製品は日本より味が深くない。海外需要アリ!
4)オリバーソース社
- 1923年創業。調味料製造を行っており、99%がソース製造
- ソース業界は近年苦戦している。。。
- 調味料の年間消費増減率(2010年~2022年比較)
- ソース 2%減 ケチャップ 13%増 ドレッシング 22%増
- ウスターソースは19世紀初頭に英国で誕生。日本のウスターソースは熟成文化を上手く活かした独自ソースとなっており、この文化を継続的に提供していきたい!
- 3年熟成したウスターソースCLIMAX『神々による進化』を発売 高額だが付加価値高い商品
- 量産低価格ではなく、こだわりで勝負 思い、美徳、信念 これらを本品に込めている
5)マルヤナギ小倉屋社 - 1951年創業。豆、昆布、もち麦などの、健康価値の高い食材を活かした食品の製造販売
■各製品の売上およびシェア率
佃煮 蒸し豆 煮豆 その他
売上(億円) 36 29 28 14
シェア率(%) 90 68 30
※佃煮、蒸し豆は1位 煮豆は2位と高シェア
近年は蒸し豆に注力しており、売上、シェアともに上昇中!
- パウチ袋に豆を入れてから蒸すことで、栄養成分が漏れない&栗のように甘い美味しさ が特徴
- 学校給食においても、水煮豆だと食べ残したが、蒸し豆だとほとんど残さない
- 素材を活かした製造方法により、大きな効果が生まれた!
- さらに、米国、特に西海岸の健康ビーガンにもヒット
- 世界を見渡せば豆需要はまだまだある
- 日本の伝統食品の摂取低下原因は、『下処理が面倒』なのもあると推測
- 豆も例外でないと思い、加工でカバーすることで伝統食品も守れる&企業活動も継続できる
■地域に根差した企業としての取組 - もち麦を使った食材の普及促進『ひょうごもち麦ぷろじぇくと』
- 兵庫県加東市にて栽培。お店も展開して普及を進めている
- 業績はまだまだ厳しいが、、、苦笑
☆パネルトーク☆
ファシリテーター:信濃屋食品社 岩崎氏
1.木桶醤油のミックスナッツ開発苦労話 - 関西 醤油文化あまりない 醤油の吟味大変 関東との味の違いもある
- 一般的なヒット味ではなく、木桶醤油の味を伝えるのが目的 最後に良いナッツの味がする
※商品開発コンセプトの共感と展開がとても難しい
2.調味料 トンカツソースについて
- ウスターソースにトロミをいれたものがトンカツソース。オリバーソースが初めて商品化
- 派生として商品化されたのが『ドロソース』
3.ドロソース:ウスターソースは焚いて熟成させるが、その残り固形がドロソースの原料 - 舐めたら美味かったので商品化 元々廃棄する素材が生きた
-
もったいない精神からできた
4.豆 共感者と需要について - 今どきの学生 小学校からSDGsネイティブが多く、ローテクが魅力的に映っている?
- 伝統食を広げるミッションには、共感者が必要
- 米国 食に気を使っている人多い 3.5億人のうち 15~20%がベジタリアン マーケット大きい
- 世界での需要は思っている以上にある!海外展開
5.採用関連について - 地元での取り組みを見て集まってくるケースアリ(儲け等別にして、継続的な地域取り組み必要
■考察 兵庫のテロワール①:食で世直し~兵庫の食品メーカーが取り組む環境と健康への 挑戦 事例紹介~
3~5代目となる親族後継者ということもあり「新規事業を立ち上げ、先代の会社で如何に存在感を示せるか」等の共通の悩みから「KFC(コウベフードカンパニー)」が結成され、その中から新規ビジネスが生まれる姿をご紹介頂いた。
正直、経営基盤が整っていなければできない活動(ゼロスタートで行うには収益最優先となるため)が多いと感じたが、広い目線でビジネスアタックできるからこそ、新しい成功ビジネスへ繋がり、お金持ちの原理(余裕があることで多方面への投資ができ、成功時は最大限の先行者利益が享受できる)に近い成果が期待できる。
全国でも、同じ環境で悩まれている方々はいると思われ、KFCの活動が全国に波及することで、親族後継者の方々が、更なる事業発展に繋がれればと思う。
■子ども食堂との連携と未利用食品の有効活用について
「食品ロス」の削減も大事であるが、「食品廃棄物」が「食品ロス」の約4倍発生していることに驚いた。確かに、可食部だけをカウントすることで「食品ロス」は削減できるが、不可食部を可食部にすることも、食品全体としての廃棄量削減に繋がる重要な活動である。※前セミナーで紹介されたオリバーソース社のドロソースの様な、元々廃棄する素材から商品化されたケースがそれに該当する。
日本気象協会が提供している『2年先長期気象予測サービス』は、自社で受発注履歴等を見える化できていれば、天気との相関関係が直ぐ分析できるサービスであり、食品関連であれば尚更、活用する効果は大きい。
子ども食堂との連携と未利用食品の有効活用について
講演者 :関西SDGsプラットフォーム 食品ロス削減分科会
ZERO FOOD WASTE NPO法人DEEP PEOPLE 中尾 榛奈 氏
※投稿写真は、講演者様から撮影了承済
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■講演概要
フードロスは長年にわたり社会的な課題とされており、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」にも掲げられています。日本における食品ロスの約半分はフードサプライチェーン(食品の製造・流通・販売段階)から発生しており、残りの半分は家庭での廃棄によるものです。
この課題を解決するためには、食品の製造元とフード提供者が連携し、未利用食品の有効活用を推進することが不可欠です。本講演では、関西を中心に展開されているフードロス削減の先進的な取り組みを紹介し、その具体的な事例や成果について解説します。
食品業界がどのように持続可能な社会の実現に貢献できるのか、実際の事例を通じて紹介します。
■講演内容
1)食品ロスについて
- 日本の定義=まだ食べられるのに、捨てられる食べ物
- 海外の定義=フードロス&フードウェイスト
SDGs12「つくる責任 つかう責任」にも食品ロス削減目標がある
- 目標12.3:2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる
- 目標12.5:廃棄物の発生を大幅に減少
■日本の食品ロス量
472万トン ※農林水産省及び環境省『令和4年度推計』
内訳 事業系:236万トン
家庭系:236万トン
比率としては半分
■日本の食品ロスSDGs目標進捗
対2000年比となると、数字上では2022年度(472万トン)に達成(目標489万トン)となる。。。このままで良いのか??
■食品廃棄物と食品ロス
☆『食品廃棄物』と『食品ロス』の違い
- ごみとして廃棄される食品を『食品廃棄物』という。食品廃棄物には野菜の皮や骨などの食べられない部分(不可食部)と食べれらる部分(可食部)の2つが含まれており、この食べられる部分をごみとして廃棄することを『食品ロス』という
- 不可食部の廃棄は食品ロスに隠れて大きな問題(廃棄量)となっており可食部としての活用の模索が必要
■3Rと食品ロス削減
Reduce :啓発活動(イベント、セミナー、フォーラム
Reuse :寄贈促進、マッチング、フードドライブ
Recycle :資源化
3R以外で活用ができなかった食品が廃棄となる
2)日本初?!食の展示会でフードドライブ -
フードドライブ:食品ロスを削減するために、余った食品を回収して福祉団体や生活支援を必要とする個人等に無償譲渡する取組
展示会最終日、試供食品を集めて 子ども食堂へ寄贈する活動
⇒3年前から活動を開始 FOOD STYLE展でも実施 - スポーツイベントでもフードドライブ実施
- サッカー(FC大阪) ラグビー(レッドハリケーン)
- 3)関西SDGsプラットフォーム 食品ロス削減分科会 会員活動紹介
- 日本気象協会 : 気候を予想して商品需要予測を行う⇒気象データを活用した商品予測の経済効果 年間約5,100億
- 気象業界初『2年先長期気象予測サービス』でビジネスを活性化⇒従来予測 降水量14日先 気温 6ヶ月先
- 本サービス 降水量 2年先 気温 2年先
- 気候に左右される取扱商品の発注、在庫管理等に活用できる!
浜田化学 : 廃食油の回収処理⇒ハンドソープ バイオディーゼル 飼育原料 航空燃料 等
兵庫のテロワール②:兵庫ローカルの挑戦!次世代流通事業者の役割とは
講演者 : 株式会社泉平 代表取締役社長 泉 周作 氏
ヤマダストアー株式会社 人事部主任 成影 美音 氏
神戸市経済観光局 食都神戸担当課 課長 牧野 考志 氏
株式会社信濃屋食品 営業本部 商品部部長 岩崎 忠之 氏
オリバーソース株式会社 取締役 企画室 室長 道満 龍彦 氏
株式会社マルヤナギ小倉屋 専務取締役 執行役員 柳本 健一 氏
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■講演概要
本講演では、兵庫県の企業や自治体が連携し、地域に根付いた食産業の発展を支える流通戦略について、パネルトークを交えながら紹介します。
地域密着型のスーパーマーケットであるヤマダストアー様からは、地元食材の活用や競争力のある販売戦略について解説。また、泉平様より、地産地消を促進する食商品の開発とPR戦略についてお話しいただきました。
さらに、『食都』を目指す神戸市様からは、自治体が推進する支援施策や、地域食産業の活性化に向けた取り組みを紹介。そして、オリバーソース様より、開発した食商品の市場展開における課題や成功のポイントについて、実際の経験をもとにお話しいただきます。
本講演を通じて、兵庫の「テロワール」(地域特性)を活かした食産業の発展と、流通の新たな可能性について紹介します。
■講演内容
1)ヤマダストアー社
- 1970年創業。兵庫県南部に9店舗展開 地物 環境配慮品等、特徴ある付加価値食品を販売
- 企業理念:『地域の20年後を作る』 お客様⇔自然環境⇔地域経済 相互依存した繋がりを重視
- 地域連携事例1:末廣醤油様 たつの市
- 国産大豆・小麦100%の醤油 惣菜寿司の添付醤油にも使用
量産品よりコスト高いが美味しい&地産地消 お客様からも好評
- 地域連携事例2:池上農場様 淡路市
- ヤマダストアーで一番野菜を提供。ヤマダストアーからの提案により慣行栽培から特別栽培へ移行
※慣行栽培 各地域で農家の多くが実践する農作物の栽培方法
- 特別栽培 慣行栽培の農法に比べ、農薬と肥料どちらも5割以上の削減を達成する栽培方法。野菜に
『特別栽培』表記が可能、素材だけでなく、コラボ商品も近年販売
地域連携事例3:小規模生産者 1つ目の販路として窓口空けている そこから拡大
- ヤマダストアーでは、長い名前を付けている商品多い⇒伝えたい事が多く、全て盛り込んでいる 詳しくは、店頭にて!
- 価格訴求型店舗ではないが、オリジナル品も多く、発信力も強いため、コア顧客とても多い
2)泉平 社
- 1896年創業の総合食品卸売業
- 泉平のスローガン:Food connects people『食』は人をつなぐ食育探求企業として前進中!
■地産地消、商品開発の推進
フルーツゼリー ソース(牡蠣) 練り物(イカ) コロッケ(さつまいも) 等
地元で採れる食材を活かした商品を多く開発、販売
学校給食へも展開⇒収穫体験して食べる、リクエスト献立による食品提供等 子供たちが食を楽しめる工夫
■食育探究活動
有名人 ヴィッセル神戸槙野氏による学校での食説明
量販店 メガドンキでの食品イベント
食体験学び ⇒ 感動 ⇒ 行動 この流れを大切にし、食のファンを増やしていく!
3)神戸市経済観光局
- 神戸市は人口150万。150年前から港湾都市として栄えており農林水産物も生産量が多い(人口100万人都市では上位)
- 『食都神戸』を目指し、『食』による『里とまち』が循環する施策を行っている
施策1:まちで食べよう
- まちなかに農漁業のプラットフォームをつくる
- ファーマーズマーケット 15年前から開始
- EAT LOCAL KOBE 毎週土曜開催
- 神戸食材流通PRさいと farms and see
施策2:まちをたがやそう
- まちに農的空間を差し込む : アーバンファーミング エディブルパーク
施策3:まちとつながろう
- まちと里をかきまぜる : Kobe food culture fest 里海編 里山編 開催
漁(収穫)を実際に行い、自然を楽しみながら食する
施策4:まちでまなぼう
- にさんがろくPROJECT : 学生とクリエイターがチームを組み、神戸の農漁業の魅力を発信
若者が地域産業を知る機会 6次産業化推進
施策5:神戸の旬に採れる野菜を知ってもらう
- 地域ブランド商品開発支援
例1 KOBE CRAFT SAUCE(後述)
例2 神戸夜明けのしらす丼弁当⇒朝一のしらすはお腹減っていて異物少ない
生産者、消費者。共に顔の見える関係を強め、良い循環を目指している
各施策は神戸市HP参照
https://www.city.kobe.lg.jp/a67688/kanko/nogyogyo/shokutokobe.html
4)オリバーソース 社
■KOBE CRAFT SAUCEについて
- 同社が開発~販売まで携わる
- コンセプト『神戸の野菜と果物からできたソース』
- 開発・仕入・加工・流通の各スキームを、神戸市協力のもと構築
☆事業を行った経験談
- アウトレット野菜を一部使用
- 全てアウトレット野菜にする計画だったが、そうすると手入れした野菜が売れなくなる(=農家さんのビジネスが成り立たなくなる)ため、半分使用とした
- 流通先が決まっているのは大きかった ※特に阪急阪神さん
⇒出口(販売)まで見据えた体制が成功の秘訣 補助金頼みではなく、自立した販売体制が必要
☆メディア露出
- 神戸新聞 神戸市HP等。。。商品内容だけPRしてしまい、本当の中身(地産地消ドラマ、熱さ)が伝わらない内容となり、今思えば恥ずかしかった。。。
⇒文字だけでは伝えられないコト。どうやって広く伝えていくか?
☆パネルトーク☆
テーマ:顧客(消費者)が求める価値と現状の課題
※以下、コメント順に記載(途中からテーマから派生した話題へと繋がっていく)
ヤマダストアー 社
- ブランドイメージ(価格重視ではなく本物重視)が地域に定着できたなかでオーガニックや高品質な商品希望の声が顧客から多く上がっており、提供進めているが協力いただくメーカー様との安定供給体制がまだ確立できないので、価格(少し高くなる)等満足いただけるレベルには達していない
⇒地場の店舗ごとに独自陳列(個人農家や特定地域メーカーが同店舗のみ陳列)しており、特徴ある商品提供ができる反面、発注業務が店舗ごとで複雑。販管費も増えるが、顧客からの評価は高い
⇒理屈や価値より、顧客の心を動かせるかが重要(特に、価格重視販売でない場合)
泉平 社
- 給食での提供、通常価格では厳しいが、自治体協力(補助)で提供。提供価格問題は付きまとう
- 生産者側や市民団体から商品化相談あるが、安定供給や消費期限、経済的合理性等
所謂、形にするノウハウがないケース多く、ビジネスとして成り立たない(思いが強いだけではただの自己満足になってしまう)
神戸市経済観光局
- にさんがろくPROJECTでも、企画立案する方多いが、『儲ける』等のビジネス目線が弱い
結果、継続的な活動に繋がらない
オリバーソース 社
- KOBE CRAFT SAUCE 実演販売の際、農家さんとの体験を伝えると、とても売れた!
※実体験したからこそ、売り手の伝えたい事が買い手に伝わる。
しかし、単純な販売(商品陳列しただけ等)だと思い伝わらない=高いだけ=買わない負の連鎖に陥る。
どうやって伝えるか、、、ニッチ戦略での永遠のテーマ
泉平 社
売り手が上手に消費者へ伝える力が必要 そうしないと今までの流れがムダになる
結局、良い商品でも価格下げないと売れない(価値低下)儲からない悪循環になる
■考察 兵庫のテロワール②:兵庫ローカルの挑戦!次世代流通事業者の役割とは
ヤマダストア社のブランディング戦略は、企業理念(地域の20年後を作る)が明確かつ地域全体で利益享受できる体制であるからこそ今があり、価格訴求店舗ではないが故に、「理屈や価値より、顧客の心を如何に動かせるか」を最重要視されている点も、相当な強みだと感じた。
新商品開発、流通展開にて「企画立案する方多いが、『儲ける』等のビジネス目線が弱い(神戸市)」との意見については、適正売価(食品では設定がとても難しい)と製造コスト(品質維持との睨めっこ)の算出を、新商品開発時に行う重要性を説いている。既存商品でも、少しの変更が製造コスト増に繋がる可能性(量産可能な設備が使えず、手作業によるコスト増等)もあり、商品開発は製造部門と連携した協議が理想(実際は、商品開発が先行し、決定後に製造方法を検討するケース多い…)である。
視察総評
FOOD STYLE JAPANは、「外食・中食・小売業界への販路拡大」を目的とした商談型展示会のため、「工場自動化」に直結する出展は見受けられなかったが、「販路拡大」に向けて各社様々なPRが行われている中で、直接商品に触れ、味を直接確かめ、生産者としっかり会話をし、納得いく商品を取引、販売できる本展示会の主旨は、現在のネット情報(AI然り)だけを頼りにした商品検索では分からない、事実を自分で確かめ判断する事の重要性を改めて感じた内容だった。これは、自動化設備を入れる際も同じで、カタログスペックだけで判断してはいけない。
出展品に目を向けると、魚、野菜、鳥、豚、牛、、、様々な食材、加工品が展示されており、日本の食文化の奥深さを認識。本来、日本の食文化は、地域の特性を活かした食材や調味料を用い、「伝承」と「味」を大切にしながら発展してきた。しかし、昨今のSNS等によるネット情報拡散は、特定の食品やブランドが突如として人気を博す一方で、過剰注文による問題(生産パンクによる長納期化&機会損失、生産優先による品質低下 等)により、それまでの長年の顧客が離れてしまうリスクも抱えている。流行に迎合するだけでは、結局「消費の波」に翻弄され、ブランドとしての価値が希薄になってしまう。
このような状況下で、食品産業が持続的に発展していくためには、短期的な流行ではなく、地域資源を活かした本質的な価値を提供し続けることが重要である。地域と共に歩むブランド作り、伝統の強みを活かした差別化、そして消費者との深い結びつきを築くことが、これからの食産業に求められる方向性だろう。
視察を通じて感じたのは、「新しさ」だけを追い求めるのではなく、「継続性」を意識した戦略を持つことの大切さである。長年親しまれてきた味や文化が消え去ることのないよう、企業は市場の変化を理解しつつ、食の未来を見据えた持続的な取り組みを進めていくべきだ。
次回の「プロの視点で解説」今月の食品展示会レポート完全版!
MOBAC SHOW2025
視察希望展示会、セミナー募集中!
以上
